タイトルそのままです。
いつもはタイムスケジュール的な意味での無理をよくやりますが、今回は安全面とか知識面とかなんとかいろんな面で無理をやりました。(スケジュール面でも無理がないとは言ってない。)
誰にも初めてはあるとはいえこれはどうなんだろうね。段階ってもんが多分あるよ。
というわけで今回は初めて尽くしの初トラック競技記事です。
今回の参加したのは、
”2023 Challenge The Izu Velodrome 第3戦”
というイベントです。
このイベントはトラック競技の普及のためのイベントとのことで、実際に小学生くらいの子供たちも参加しているようなイベントでした。
ぼくみたいな、”バンクってめっちゃ傾斜ついてるけどあれどうやって走るん…?”レベルの人間も出れてしまいます。
一方で、このイベントで使用する会場は、世界レベルのトラック競技大会でも使用されており、屋内の木製板張りバンク。
適当に調べたページですが、
ベロドローム(Velodrome)とはフランス語で自転車競技場を意味し、自転車トラック競技が行われる施設のことです。トラック競技は、オリンピック競技としても扱われており、屋内型の木製板張りの周長250mバンクでの開催が世界標準となっています。
とのことです。日本に3カ所しかない国際基準の屋内バンクで、自分のような実績のない選手も走れる数少ないチャンスです。
おなじ木製屋内250mバンクの千葉のカント角が書いてないのがあれですが、400mバンクは大体30°くらいでしょうか。
一方で伊豆は、この記事によるとコーナーの深いところでは
45°あるらしいです。
いや45°なんて壁ですよ。
北国の民としてスキーを嗜んでいた話をすると、上級者コースでも30°ちょっとの傾斜ですよ。それでも滑り出す前の怖さを思い出したらちょっとヒヤッとしますもん。
その1.5倍の傾斜なんて本当に壁です。(まあスキーはその傾斜に対して、縦に滑り降りる瞬間がどうしても発生するのが最怖ポイントかもですが…)
普通は400mのバンクでの実走がスタートになるんでしょうが、カントのキッツい250mバンクからのスタートになったというわけで段階すっとばしているという表現を冒頭でしました。
そして細々書く前に今回の感想。
本当にコレだった
— ばたんきゅう。 (@slapphappy72) 2023年11月12日
ブレーキとフリーの偉大さが分かった https://t.co/7uuTZwRlcv
どうしてこんなことになったのか、まずは経緯から…
去年の冬ごろ…だったと思いますが、当時まだ北海道に住んでいた頃、北海道には函館にしかバンクがないにもかかわらず友人内でにわかにトラック競技の機運が高まっていたことがありました。
もともとトラック競技の経験がある人もいましたが、そもそもピストってなに?レベルだったのが僕も含めて2人。
そんなレベル感だった人がサクッと中古のトラックバイクを購入していたので、あれこれもう本意気で函館競輪場行きなやつだな?と思った僕も某SNS経由で競技勢の方のフレーム乗り換えにかかる売却ポストをみて飛びつきました。そしたら大学の先輩の知人の方で、仲介してもらうことでとてもスムーズかつ安心感ある中で話が進みました。本当に助かった…
そしてぼくが購入したフレームは、北海道にいるあいだフレームのまま。
その後転職して、関東に来てもしばらく放置されていましたが(置く場所に困っていて組むに組めなかった)、なぜか数か月連続で北海道から関東に遠征してきている、絶対新しい自転車競技沼に沈めるマンの誘い(CXもMTBも大体周りからの誘いで始めている。結局楽しくなることわかっているからなんやかんやいいつつ誘いに乗っちゃう)で今回のイベントに参加することが決定したことで急ピッチで組み上げることに。
こちらがトラック初心者には分不相応な車体:FUJI TRACK ELITE です。
なんとカーボンフレーム。黒い車体のグロス塗装からカーボン地模様が透けて見えるのがすこぶるえっちです。
フロントホイール、DHバー、ステム、サドル、タイヤはロード関連の余剰パーツから引っ張ってきたので新規の出費は無し。
クランクはフレームとセットで譲っていただいたのでノーカン。
リアホイール、ペダル(PD7810)、ベースバー、チェーンを新規で(ホイール以外は中古ですが)購入。
まあなんとか形になったかな…という感じ。
ちなみにベースバーにはYONEXのテニス用グリップテープを巻いてみました。自転車用よりはるかに巻きやすくて感動しているけど、耐久性が気になるかもしれない。あと、左右の概念がなくすでに終端用に三角形のカットが為されているので、すこし戸惑いました。
なんかパーツ構成にちぐはぐな感じはしますが、経緯的に仕方ないね。
ちなみに組みあがったのはイベントの2週間前。
我が家には、騒音(と使用者が乗れる気がしない)という懸念点から、3本ローラーが存在しないため、GTローラーでとりあえずケイデンスを高くすることを意識して付け焼刃の2週間を過ごしました。
そしたらあっという間に当日に。
道中ルーフキャリアに積んだ自転車が高架下擦りそうになったりしながらも、何とか会場の日本サイクルスポーツセンターに到着。
なんかもう、入った瞬間に口から勝手に変な声出ましたね。
別に熱心なトラック競技ウォッチャーというわけではない(ていうかいざ走るってなってからTCLとか見始めた程度)ですが、やっぱり国際大会が行われているような会場に入るというのが精神を高揚させていたんでしょうか。
ていうか自転車競技でこういう屋内の立派な会場ってのがないからなあ。
トラック以外だとどっかの公園か、河川敷か、野山って感じだもんねえ。
まあでも贅沢なイベントですよね。札幌ドームで草野球、日産スタジアムで草サッカーみたいなもんだもんね。すげえわ。
問題のカント。
つっっっっったわらねえええええええ~~~~~
写真だと1㎜も伝わらねえ…
いやもうほんとに上から見たら壁だったんですよ。こんなとこホントに走ったんか、先にこれ見てたら絶対走るのやめてたぞ。っていうくらいの。
実際試走の時は、ピスト初実走なのもあってクランクを止めちゃいけないということで頭がいっぱいになっていることで、周りに人がいるのが怖すぎるのでおっかなびっくり走っていました。
そのため、スピードをそこまであげることができず、カントのキツくなるコーナー突入時にフロントがずるずると内側に落ちていく感覚を味わいました。怖い。
とにかく怖くてもスピードを出せ、ペダルを回せと同行者に言われていたので、とりあえず直線で周囲に人のいないタイミングを見計らって加速、コーナーに突入するとその瞬間、背中側から強く押さえつけられるような感覚が身体を襲います。
多分40㎞/hくらいですが、普通に苦しい…でもこの押し付けられる感覚のおかげで、タイヤのグリップが安定し、コーナーでも怖さがなくなりました。
これが振り回されるバケツの中の水の感覚なのかな…などとどうでもいいことに思いを馳せましたが、これがスピード出してコーナーに入れ、とか、まっすぐぶん回してるだけで勝手に曲がる。とか言われたことなんだな…と体で理解しました。
カントがあるおかげでまっすぐ走っている感覚でいれば勝手に曲がるけど、カントがある所為で重力で内側に落ちてくからそれに釣り合う遠心力を確保するために、スピードがいるんだなあ。という理解に。
これを理解してからはコーナーでぐぐんと体にGがかかるような感覚が独特というか楽しくて、自然とくるくるしてました。
そんな感じで試走を終えて、発走機(スタート前に車体を保持してくれる機会)からのスタート練習を経て最初の種目がチームパシュート。
4人一組のチームで4㎞走り、3人目にゴールした選手のタイムを競います。
今回は寄せ集めのチーム+250バンクどころか固定ギアの自転車に乗るのも初めてのメンバーがぼくを含めて二人。なのに集団走行。という無謀すぎる試みだったので、もう先頭交代とかはしない+車間をばっちり開けてとりあえず走り切ろうという目標をきっちり共有してから出走します。こういうのはズレがあると危ないから…
さて位置に、つけませんでした。
ぼくは第4走者だったので、最もアウト側からの出走だったのでアウト側までカントを越えていかなければスタート地点に辿り着けません。
よくわかってないですが3走の選手に倣ってスタート位置につこうとしましたが、うまくいかず転倒。スタート前から転倒する選手に会場からざわめきが起こります。
思い出しただけで心拍数が上がってきたし手汗めっちゃ出てきたし、何ならちょっと涙がにじんできたし普通にトラウマ気味かもしれない。
結局、バンクを一周してきてから速度殺して発走時に保持してくれる係員の方に受け止めてもらいました。これが正しいのかよくわかってない。
いろいろいっぱいいっぱいで前の人たちがどうスタートついてるか見てなかったなあ。
この時点で恥ずかしさとか時間押したとか多少なりとも走路傷つけたとかの罪悪感とかがないまぜになって、ベロド内は空調がしっかり効いていて暖かいはずなのに身体が冷え切っているような感覚。心拍数も急上昇していきます。
そんな中で始まった4㎞。
案の定というか、走り出してすぐに経験者2人と未経験者2人で分裂。
その後同じく未経験者の3走をパスして僕が前に出ますが、ブレーキない足止められないっていう自転車で車間を詰めることはおろか後ろにつくことすら怖く、前走者からレーンをアウト側に大きくずらして走る始末。
でもステイヤーラインより上に行くのは怖いので、先頭交代なんて夢のまた夢だな。
ロード乗ってカントのないカーブでDHバーを握る怖さが思い出されて、4㎞の間一度もバーを握れませんでした。
カントがあれば自ら体重移動する必要もないので、別物と思うべきなのに、目の前に迫るカーブの視覚的インパクトに全く勝てませんでした。
そんな感じで散々ではありましたが、何とか走り切りました。
ギアの踏み方もよくわからないし(当然ながらローラーとは違うので全く回しきれた感覚がない)、前走者の後ろにつくとするする近づいちゃって怖いし(多分緩めてくれてたタイミングで僕が回してしまってた)で全く追い込めた感がないまま終わりましたが、精神的な疲労でもうへとへとです。
でもまだ1㎞TTが残ってるんだよな~
まあ距離が変わったからといって特別どうってことはなかったんですけど。
スタート後ダンシングするのが怖くてゆる~りとスタートしたし、結局DHバーは握れなかったし、1周目終えるタイミングくらいで右目のコンタクトが外れかけて、うわこの状態でコーナー突っ込むの怖すぎる、とか、帰りの運転どうしよ、とか(前泊していたので眼鏡もってきてて杞憂だった)がよぎってまともに走れなかったとかくらいですかね。それでも普通にめちゃくちゃきつかったけども。
後は対面出走のはやっそ~な高校生の子が2回フライングした結果、最終組にリスケされて単独で走れることになったことくらいですかね。多分発走機使った回数僕が一番多いんじゃなかろうか。結局うまくいかなかったけども。
まあでもバー握ってなくてこの感じだったら悪くないような気もしないでもない。
というわけでこれでなんとか自分がエントリーしていた種目は終了。
一気に精神的な負荷がなくなったからか急に眠くなりました。
あとはハロンに出る同行者とかポイントレースに出る名古屋民(なぜか1か月前くらいにも会ってる。謎。)とかの雄姿を見たり、会場内を散歩したりしていました。
結局自分の走りは散々でしたが、自発的に初めてトラック競技会に行くのってすごくハードルが高く感じたし、誘ってもらえて本当によかったなあ…という気持ちでした。
そして、まったく思い通りに走れなかったことと、走る以外の部分でもいろんなやらかしをやったので、改善できることがたっくさんあって、酷い醜態を晒したわりにモチベが落ちない(というか行く前よりはるかに上がった)という結果になったのもすごくよかったなあ。という気持ちです。
帰り道で道民を羽田に送って今回は終了。
出来れば今年中にもう一回くらいトラック走りたいね。さがしてみないとなあ。
やっぱかっちょいな pic.twitter.com/zKlRxn2dtA
— まきちゃんかわいいbot (@makichancutebot) 2023年11月12日
実は未経験者二人、意図せずおんなじフレームでした。
まあ安価で市場に出てるトラックフレームってなると被るよね。